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健康 2018.08.03

異星人ジェイコブの「なぜ人間は薄毛対策にこだわるのか」髪の毛の謎に迫る旅 その3 ~カツラは衛生的な証?~

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私の名はジェイコブ一郎。

“コブ星”に住んでいる。

 

▲コブ星人“ジェイコブ一郎”

 

「頭」の毛が薄くて当たり前のコブ星に住む私にとって、人間の頭髪の量が私たちより多いことや、彼らが毛の量を気にすることが不思議でならない。

今、私はこの疑問に立ち向かうべく人間の「毛」について調べている。

 

今まで2回のリサーチで、人間に髪の毛が生える不思議や、「髪に神が宿る」と信じる文化など、毛の知識が少しずつ付いてきた。

 

第1回:薄毛は男らしさ!?

第2回:髪には神の力が宿る

 

今回は、人間にとって髪の毛はあったほうが良いのか?という興味のもと、髪・カツラにまつわる昔の風習や文化を調べてみた。

<今回分かったこと>
・人間は“髪を洗わなくて良い”!?
・シラミ対策に「全部剃ってカツラをかぶる」が流行
・ルイ14世:カツラ職人40名を雇うこだわり
・衛生的だと思ったカツラが“鼠の巣”になる

人間は“髪を洗わなくて良い”!?

現代人は週に何度も、人によっては毎日、髪の毛を洗っている。

しかし、もともと人間は基本的に髪を洗っておらず、洗髪の習慣はごく近年に始まったそうだ。

 

例えば、平安時代の美女と呼ばれた清少納言は、上流階級であったにも関わらず、洗髪は年に一回。

洗う理由も、美容のためではなく穢れ(けがれ)を落とす意味合いが強かった。

前回も書いた通り、髪には神が宿る考えがあったためだ。

 

本当に、髪をほとんど洗わなくても大丈夫なのか?

 

一説では、本来は髪の毛に「浄化能力」が備わっているので、放ったらかしで大丈夫だという。

 

あるイギリスの科学者が、実際どうなのか知るために、髪を洗わない実験をした。

最初は気持悪いだけでなく、もつれてボサボサになった。

 

しかし2-3週間を過ぎると、髪の毛自体が持つ油分で艶が出て、良い具合になったらしい!

 

現代人は洗髪をしすぎて本来の毛の「浄化能力」が損なわれ、またすぐに洗うという悪循環に陥っているのだ。

 

シラミ対策に「全部剃ってカツラをかぶる」が流行

しかし、洗髪をしないことにはデメリットもある。

衛生状態が悪くなり、髪にシラミが沸いてしまうのだ。

 

エジプトではシラミの発生を防ぐために、髪を油やロウで固めていた。

日本で髪の潤いのため椿油などを使うのは、シラミを防ぐ目的で始まったそうだ。

 

さらに17世紀フランスでは、その頃に活躍したルイ13世がカツラを用いていたことをきっかけに、シラミ対策としてカツラが流行った。

 

不衛生になるぐらいなら「髪の毛を剃ってカツラをかぶれば良い」と人々は考えたのだ。

 

 

薄毛を気にする人もいたが、多くの人が「衛生アイテム」としてカツラを用いたことは興味深い。

現代の人間社会では、「カツラは恥ずかしい」的な空気を感じるが、当時の人たちは「僕は/私は衛生的なんだぞ!」と自慢気に思っていたかもしれない。

 

ルイ14世:カツラ職人40名を雇うこだわり

フランスの“カツラブーム”のきっかけを作ったルイ13世は若い頃から髪が薄かった。さらに、病気で脱毛してしまったために23歳からカツラを愛用。

これが宮廷に拡がり、市民層に普及した。

 

ちなみに子供のルイ14世は、カツラをかぶることを嫌がった。技術的にはかなり精巧だったが、かぶると暑く、安定しなかったためかもしれない。

 

しかしルイ14世の心の抵抗もむなしく、毛の薄さはしっかり親から子へ受け継がれており、30代前半でカツラを使用し始めた。

 

 

髪型にこだわった彼は、なんと40人もカツラ職人を雇ったうえに、カツラを公式に「宮廷の服装の一部」と定めた。

 

そのこだわりは凄いもので、TPOに合わせ、起床用、ミサ用、昼食後用、夕食用、狩猟用と使い分けた。また、色が自然に見えるように、若い頃は根元がブロンドで毛先にいくにつれて濃くなるように、晩年は白へと買えていたと言う。

 

髪に対する執着心のようなものを感じずにはいられない。

 

衛生的だと思ったカツラが“鼠の巣”になる

ルイ14世の肖像画に見られるように、クルクル長くてボリュームのあるものが人気で、人毛が一番と言われたが値段もバカ高かった。

そこまでお金はないが、貴族としての体面を保ちたい人向けに、馬やヤギの毛で作られたものもあった。

しかし、動物の毛で作られたカツラには、スターチなどから作られる髪粉(パウダー)が使われており、放っておくと、鼠の絶好の巣となった。

カツラは鼠たちにとって、素材としても、居心地としても素敵な環境だったのだ。

 

 

シラミの駆除のためにカツラを使用したのに、鼠が住むとは本末転倒だ。

そこから学んだ人間たちは、使う毛の色を変える、髪型を短くするなど工夫したそうだ。

 

フランス革命後は、カツラそのものが廃れてしまったそうだが…。

【ジェイコブの気づきと疑問】毛の文化は様々な生き物から形成された

 

■髪の毛を洗わない実験を誰かにやってほしい

私たちコブ星人の頭髪は人間より少ないが、3日に1度程度は水で流す。本来、浄化作用があったとは!!!

現代では洗うのが常識だが、例のイギリスの科学者以外にも誰か髪を洗わないで1年間過ごしてみてほしい。

 

私は試したくないが…。

 

■衛生のために毛を剃ったままで良いのでは?

シラミが沸くからと言って、髪の毛を剃ったらそのままで良いのではないだろうか。

重くて暑いカツラをつけてまで髪の毛をくっつけていたいとは、人間の毛の文化はまだまだ深い。

 

■人間だけで作られた歴史ではない

人間の毛へのこだわりの歴史には、人間以外の生物も登場してくる。シラミ、鼠…人間同士のコミュニケーションだけが「毛」の文化や習慣を形成しているのではないようだ。そこにより興味がわく。

 

今回も人間の毛の文化の深さを知った。人間以外の生物まで登場してきてビックリだ。歴史や文化のオモシロ話はまだまだありそうなので、引き続き研究を続けよう。

 

 

<今回の学習書>

「髪の文化史」荒俣宏(潮出版社)

役に立たない西洋史 (yoshdance)

髪に関する総合情報Webマガジン「カミわざ」

Wikipedia

 

<過去の記事>

第1回:異星人ジェイコブの「なぜ人間は薄毛対策にこだわるのか」髪の毛の謎に迫る旅 その1 ~薄毛は男らしさ!?~

第2回:異星人ジェイコブの「なぜ人間は薄毛対策にこだわるのか」髪の毛の謎に迫る旅 その2 ~髪には神の力が宿る~

 

ジェイコブ 一郎

この記事を書いた人

ジェイコブ 一郎

頭髪が薄い生物が集まる“コブ星”の住人。 人間の「毛」へのこだわりが不思議なので、現在「毛」について研究中。

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