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価値観 2019.02.26

お笑い不遇の時代…芸人出世の一大チャンス!「賞レース」はこうやって勝つ!?
〜売れたい芸人が吹かす業界風(4)〜

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筆者は芸歴10年を超えており、年齢は35歳の“売れたい芸人”である。

バイトを週にいくつもこなし、舞台に立ち続ける日々である。

今日は若手芸人の登竜門「賞レース」について語っていこう。

 

昔は良かった……激減したネタ見せ番組

 

10年ほど前にあった「お笑いブーム」を覚えているだろうか。

「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」「爆笑レッドカーペット」「爆笑レッドシアター」などなど、“ネタ見せ番組”が百花繚乱の様を見せていた時代である。

毎日のように放送されるネタ番組が放送され、そしてそこから人気が出て売れていくという芸人が沢山いた。

 

(一発屋も大量生産されたが、一発でも当てられることは貴いことだ)

 

しかし、上記に挙げた番組はすべて、2010年に終了している。

 

最近はますますネタ見せ番組は減少しており、あったとしても出演できる芸人は既に売れている芸人ばかりで、売れていない芸人の枠はほとんどない。テレビ局は視聴率のことを考えないといけないので、出演者が人気の芸人ばかりになるというのは仕方のないことなのだが。

 

そんな中、若手芸人にスポットライトが当たる可能性がある数少ない機会が、「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)や「キングオブコント」(TBS系)、「R-1グランプリ」(フジテレビ系)などの賞レース番組である。

賞レースの結果は名刺になる

 

賞レースの中でもM-1グランプリの注目度は高く、優勝すると担当マネージャーの電話が鳴りやまないくらい仕事が一気に舞い込んでくるという。優勝を逃したとしても爪痕を残せた芸人は、番組の制作会議で名前が挙がり、テレビやラジオ番組に呼ばれるということも増えてくる。

 

レースまででも勝ち上がれれば「こういう芸人がいる」と世間に知らせてもらえることと同じ。また、番組のオーディションに行った時などの質疑応答で「M-1は何回戦までいきましたか?」や「キングオブコントは何回戦までいきましたか?」などは本当に聞かれることが多い。

 

そう、これらは無名の芸人の実力がどれくらいのものなのかを知る一つの指標となっているのである。なので、これらの賞レースの決勝に勝ち進むことを目標にしている芸人は多い。

 

勝負は一瞬の輝きで決まる

 

M-1グランプリを例に取ると、ネタ時間は1回戦が2分。決勝でも4分と設定されていて、とても短い。

漫才の場合、舞台ではアドリブを交えてネタをすることが多いが、賞レースではアドリブを入れる余裕がほとんどない。

コントの場合は設定やキャラクターを伝えるために時間を費やすことになるが、それも極力短くする必要がある。

 

漫才でもコントでも、この短いネタ時間にいかにボケを詰め込むかが勝負になってくる。

ただ、詰め込み過ぎてもフリがしっかりしていないとウケに繋がらない。舞台でのネタと賞レースのネタは長距離走と短距離走くらい違いがあり、全く別の戦い方をしなければならないのである。

レース前にたくさんチューニングができる芸人が強い

 

舞台と賞レースは別物と言えるのだが、賞レース用のネタは舞台で試すしかない。

そして無駄を省いて時間を短縮させていき、賞レース用のネタへと仕上げていくのだ。

 

賞レースは、自信があるネタが少なくとも2本以上ないと戦えない。

決勝戦で披露されるネタを見てみると、実は何年も前に作ったネタであるということも多々ある。何度も何度も舞台にかけてブラッシュアップさせたものが完成されて決勝で披露されているのである。

 

単独ライブでの反応を見て、どのネタで勝負していくのかを決める芸人もいる。

また、決勝戦本番直前になると決勝進出者は出来る限り多くのライブに出てネタをかけて調整する。この時期は「無駄なセリフはないか」「ボケを足せないか」などお客さんの反応を見て細かい調整を行う最終段階に入るのである。

決勝戦直前はとにかく一つでも多くのライブに出演したいため、ライブの大小に関わらずお客さんの前でネタを披露できる場所を探しまくるのだ。

ここで強いのが吉本である。吉本は各地に自社の劇場を持つため、ネタを試せる機会が他事務所と比べて格段に多いのである。これが賞レースで吉本芸人が強い要因の一つでもある。

もちろん、魔物も棲んでいる

 

ただ、ここで間違いが起こることもある。ライブ会場で笑いが起こったとしても賞レースの決勝ではそこまでウケないということがあるのだ。これはライブ会場は小さく密閉した空間であり、お金を払って単純に笑いに来たというお客さんなのに対して、賞レース決勝のスタジオは独特な空気が流れており、お客さんも審査の目で見てしまうのである。

 

芸人というのはお客さんにウケることによってテンションが上がり、いいパフォーマンスをすることができる。そしてライブではウケたところがスタジオでウケないとどんどんと気持ちが下がっていき、結局はねないまま終わってしまう。

 

ライブと同じ感覚でいたらいつまでたっても賞レースではいい結果が出ない。賞レースの戦い方はライブとは全くの別物として考えることである。これをできる芸人が賞レースで上まで行けるのだ。

 

そう、我々はもうわかっている。

だから、次こそは、次こそは上にいけるはず……なのだ。

売れたい芸人

この記事を書いた人

売れたい芸人

わりと大手の某事務所所属の売れたい芸人。夢を追いながらバイトを鬼のようにかけもちする日々。

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