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価値観 2018.11.29

“よしもと”と“それ以外”の芸人はどっちが幸せか 〜売れたい芸人が吹かす業界風(2)〜

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筆者は芸歴10年を超えており、年齢は35歳の“売れたい芸人”である。

所属事務所は明かせないが、歴史のそれなりにある某芸能事務所に所属している。

 

今日は、芸人の命運を分ける「所属事務所」について書こう。

芸人やるなら、“よしもと”か“それ以外”のほぼ2択

 

芸人の事務所というとまず思いつくのは“よしもと”(かつては吉本興業、現在の事務所機能は「よしもとクリエイティブエージェンシー」、以下「吉本」)ではないだろうか。

 

松竹芸能や太田プロダクション、人力舎、浅井企画など芸人が所属する事務所は数多くあるが、断トツで芸人の数が多いのは吉本である。

吉本は100年を超える歴史があり、ブランド力はまさに最強クラス。

また、テレビ番組の制作も行っているため、自社の芸人をメインに据えることによって、簡単にバーターで若手芸人を出演させることもできる。その影響力は強大だ。

 

芸人を始める際に事務所への所属はほぼ必要不可欠だが、大きく分けて吉本を選ぶか、他の事務所にするかどうかというところから考える人がほとんどである。

 

筆者の場合も芸人を始める際にまずは吉本に入ることを考えNSC(吉本の養成所)の資料を請求した。結局他の事務所を選んだわけだが、芸人をやっていく上で吉本がいいのか、それとも他事務所の方がいいのかどちらなのであろうか。

 

まずは、他の追随を許さない吉本の圧倒的規模感と、そのメリットを見てみよう。

 

圧倒的規模感・よしもとのメリット(1)劇場を持っている!

 

まず、吉本の芸人にとっての最大の長所は自分の劇場を持っているということである。これは芸人にとって非常に大きい。芸を磨く上で舞台に立つほど身になることはない。吉本は大阪、新宿、渋谷、千葉、沖縄など各地に劇場を持っており、毎日3公演〜4公演するのが当たり前となっている。

 

それだけ吉本所属の芸人にとっては舞台に上がれるチャンスがあるのだ。さらにネタだけではなくトークライブや大喜利などの企画ライブなど様々なことに挑戦できる恵まれた環境で、実力をつける事ができ、とても羨ましいことである。

 

ただし、吉本所属芸人は5000人とも6000人とも言われており、これだけライブがあったとしても舞台に立てるのは一握りである。

他の事務所で言えば、松竹芸能も自社の劇場を持っており、頻繁にライブを行なっている。吉本に比べるとライブ数は少ないが、芸人の数も少ないため舞台に立てるチャンスは広がる。

 

自社の劇場を持っていない事務所はライブ会場を借りて毎月ライブを行なっていることが多く、これらの事務所も芸人の数は吉本に比べ少ないので、割合で見れば出られる芸人の方が多い。筆者も毎月事務所ライブには出られているが、吉本だったらライブに出られていないのではないかと思っている。

圧倒的規模感・よしもとのメリット(2)タテのつながりが強い!

 

また、吉本は現役で活躍している芸人が非常に多いため、テレビに出るためのノウハウをたくさんの先輩から直接教えてもらえる機会が多いことも長所となる。先輩との縦の繋がりがしっかりとあるため、吉本芸人間のコンビネーションはどの事務所と比べても優れていると言える。

 

例えば、アメトーク(テレビ朝日系)などのトーク番組で若手の吉本芸人があまりハネなかったときにすかさず先輩芸人がフォローを入れ、それを笑いに変える。制作サイドもそれを分かっているのでまだ有名でない若手でも安心して出演させている。吉本に勝てる芸人間のフォローの仕方はないのではないだろうか。

 

圧倒的規模感・よしもとのメリット(3)強大な全国ネットワーク

 

さらに吉本は「住みます芸人(http://www.47web.jp/)」というプロジェクトを立ち上げており、47都道府県全てに芸人を住まわせて地域密着型の仕事へも場を広げている。行政との繋がりも強いため何か県のイベントがあると「住みます芸人」が呼ばれるということもよくあり、他事務所の追随を許さない状態である。

 

以上のように、吉本には多数の仕事があるが、その大きさ、芸人の数の多さは弱点にもなる。マネージャーに知られていないような芸人も多く、仕事がたくさんあったとしてもそれが回されるのは決まった芸人ばかりになるということは珍しくない。自分から前に出てアピールし、結果を残さない限り吉本所属であったとしても仕事はない。

 

「その他事務所」で同ランクの芸人になれれば、吉本よりも儲かる!?

 

 

一方、吉本以外の事務所に所属する「その他芸人」は、マネージャーがある程度新人芸人まで把握できる。

なのでオーディションなどの機会があると、そのコンセプトに合った新人にもチャンスが回ってくるという可能性が高い。

 

また、吉本芸人がネタにするところでもあるが、ギャラの芸人の取り分も吉本に比べると他事務所の方が高い。

吉本は若手のうちは事務所:芸人=9:1(※)であるのに対し、他事務所では4:6であったり3:7と条件も様々。

つまり、同じランクの芸人が同じ仕事をしたら、吉本芸人の6倍、7倍と貰える計算になるのだ。

(※)売れたい芸人独自調査による

実際に共演した吉本芸人にギャラを聞いても、本当に6分の1くらいであった。

吉本芸人が10000円稼ぐころ、その他芸人であれば60000円稼げるのだ!

 

これを思えば「その他芸人」は、吉本芸人よりコスパがよく働けているのではないかと思ってくる。貰えるギャラが多ければ、芸人のやる気にも繋がる。

 

「どのネタをやったとしても値段は同じ」なので新ネタを作ろうという気持ちにはならない……というよしもと芸人の愚痴も耳にしたことがある。

 

吉本がいいのか「その他事務所」がいいのか一長一短であるが、どこを選んだとしても事務所の雰囲気に合わない芸人は淘汰され、数年後にはいなくなってしまうことがほとんどだ。

 

各事務所で活躍している芸人を見てみるとその事務所の雰囲気がなんとなくわかるだろう。所属事務所を気にしながらテレビを見てみるのも面白いかもしれない。

 

 

売れたい芸人

この記事を書いた人

売れたい芸人

わりと大手の某事務所所属の売れたい芸人。夢を追いながらバイトを鬼のようにかけもちする日々。

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